超硬の買取り
超硬(ちょうこう)とは、金属加工用切削工具(ドリル、旋盤、エンドミル、ホブ、フライス等)の材料として使用されている合金工具のうち、 炭化タングステン(W)とコバルト(Co)を結合させて作られたものです。 英語ではTungsten Carbide(タングステンカーバイド)と呼ばれています。Carbideとは炭化物のことです。
(右下の10円硬貨は大きさの比較用)
超硬は、切削時の摩擦で高温になっても硬度(硬さ)低下が少なく、かつ摩耗しにくいことから、切削用途に使われています。
タングステンとコバルトは共に希少金属で、いわゆるレアメタルになります。
超硬工具は、長年使用していると摩耗してきます。
繰り出し量を調節したり、研磨することで引き続き使用できますが、完全に使い切ることはできず、最後は余ってしまいます。
そうして余った超硬工具を、捨てていませんか?
小さい容器でもよいので用意し、使用済みの超硬を溜(た)めておきましょう。
超硬工具としては、超硬チップ、超硬金型、超硬ドリル、超硬パーツ等、様々な種類のものがあります。
耐摩耗性を上げるために、窒化チタン等のコーティングが施されていたり、他の金属と結合されているものもあります。
また、大きな機械では刃先だけに超硬が使われ、本体は鉄の場合も多いです。
硬い工具は色々ありますが(そもそも硬くないと金属を削ることはできない)、そのうち、
タングステン(W)とコバルト(Co)からなるものが超硬です。
では、実際に弊社が持つ金属分析器で調べてみましょう。
分析でもタングステン(W)とコバルト(Co)が検出され、超硬であることが分かりました。
サーメットやセラミックにご注意
超硬チップと同じ形状をしているのですが、超硬ではないものがあります。 「サーメット」や「セラミック」と呼ばれるものです。
超硬と比べ、サーメットは軽い
サーメットはタングステン(W)とコバルト(Co)を含むものの、その割合が少なく、代わりにチタン(Ti)が多いこともあり、金属的価値は超硬に比べ格段に低くなります。
そして、セラミックは金属ではありません。
サーメットは買取可能ではありますが、超硬に比べ大幅に価値が低く、セラミックは価値がないため、取扱いできません。
「超硬」と「サーメットやセラミック」が混ざった状態ですと、買取価格を付けにくくなりますので、
お客様の方で事前に分別し「超硬」と「サーメット」を分けてお持込みください。
超硬とサーメット、セラミックの見分け方
金属分析器を使えば可能なのですが、金属分析器は高価なものであり導入は容易ではありません。
そこで、見分け方としては重さがあります。
(重い) 超硬 > サーメット (軽い)
です。
超硬もサーメットも磁石に付きますが、セラミックは磁石に付きません。
つまり、高価な金属分析器がなくても、体(カラダ)と磁石があれば、確実ではないものの、分けることができます。
しかし、確実ではない、というのは、
1.重さの感じ方は主観である。
2.重さが微妙なものもある。
3.小さいものは差が体感しにくい。
ということです。
1は、重さの感じ方は、人により異なるということであり、まさに「主観」です。
色の感じ方が人により異なるのと同様、重さの感じ方も人により異なると思われます。
2は、3にも関連しますが「どちらだろう?」と判断に迷うものが存在します。
3は、超硬チップの場合、概して小さいものです。小さいものは重量の差も小さくなります。
差が小さくなると、体感が困難になります。
また、左手に超硬、右手に不明なチップを持ち、左右の比較で判別すると差が分かるが、
片方だけ出されると判断に困る、ということもあります。
重いが分析結果が超硬ではない場合
重さは超硬であるが、金属分析器では超硬ではない、というものもあります。
結果を見るとTi(チタン)が多くを占めています。
上で述べたように、
超硬=タングステン(W)とコバルト(Co)からなる
ですから、これは「超硬ではない」となりそうですが、Ti(チタン)はそれほど重い金属ではありません。
重くない金属が74%を占めているのに、重量があるということから「表面のみTi(チタン)ではないか?」と推測されます(耐摩耗性を上げるため、窒化チタンをコーティング)。
表面がダメなら、表面を削り内側を露出させ、金属分析器を当てればいいのではないか、ということになりますが、
そもそも耐摩耗性を上げるためのチタンコーティングですから、当然簡単には削れません(笑)。
ハイス(ハイスピードスチール,高速度鋼)とは?
形状がエンドミル(ドリルに似た外観の工具)の場合、超硬ではなく「ハイス(ハイスピードスチール、高速度鋼)」が使われていることもあります。
ハイス(ハイスピードスチール、高速度鋼)は炭素(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、コバルト(Co)等が組み合わされた金属です。
買取は可能ですが、超硬ではないため、事前に分別し、超硬とは分けてお持込みください。
分別判断が困難な場合は、弊社にサンプルを送っていただければお答えできます。
超硬パンチ
棒状の超硬パンチというものもあります。 超硬でできているものであれば、超硬で買取ります。
今回は、黄色いものと黒いものがあります。 各々分析してみましょう。
側面(黄色の部分)で分析すると、上記のように、Ti(チタン)が多く出て超硬ではない、ということになりますが、 手前側(黄色くない部分)を分析すると...
手前側(黄色くない部分)を分析すると、上記のような結果となり、「タングステン(W)とコバルト(Co)からなる=超硬」ということになります。
パンチであっても、超硬ではないものもあります。 例えば、以下の銀色のパンチは、
銀色のパンチは、色が超硬のそれとは異なりますので、超硬ではないと判断できるかもしれません。
様々な超硬チップ
超硬は、その多くが切削工具ですので、材料や用途に合わせ、様々な形があります。 弊社に入荷した超硬から、その一部をご紹介します。
超硬スラッジについて
超硬研磨時に出るスラッジも買取りいたします。
超硬スラッジは含まれている金属により値が変わります。異材が含まれていると買取りできないこともあります。 また、水分が多いものは買取できませんので、お持込みになる前に、超硬担当に必ずご相談ください。
タングステン(Tungsten)の買取価格について
タングステンの買取価格は、そのタングステンスクラップの成分や付着物、形状、加熱の有無等によって変わります。
組成は、そのタングステンの仕入れの際に付いてくる「ミルシート」で分かりますが、無ければサンプルが必要になります。
見積には、次のものをご用意ください(なくても可能ですが、ある方が正確な見積もりができます)。
・量
・大きさ
・全体の写真とアップの写真(接写)
・どのような製品を作った時の発生か
・ミルシート(材質を証明する書類)
・サンプル
超硬(ちょうこう)の買取価格について
超硬チップは、サンプルがなくても構いませんが、ある方がベストです。 サーメットやセラミック、超硬に他の金属が結合されているようなものは、 買取価格が大幅に低いか、買い取れないことがあります。
タングステン(Tungsten)の買取り
タングステンリサイクルのために、タングステン(Tungsten)スクラップを買取っています。 クロム族元素の1つであり、元素記号はW、原子番号74、原子量183.85。 白色ないし灰白色の光沢のある金属であり、タングステン酸塩鉱物として産出します。 硬度、比重ともに大きく、電球のフィラメント、X線管の対陰極、溶接用・アーク炉などの電極、真空管、電気接点等に広く用いられます。
スクラップとしては「超硬(ちょうこう)」と呼ばれる、タングステンとコバルト(Co)からなる硬い金属が有名です。
(タングステンとコバルトからなる硬い金属)
超硬は、ダイヤモンド、セラミックに次ぐ硬さがあるため、主に切削工具として使用されています。
超硬・超硬チップ・超硬工具/タングステン/特殊金属買取に関連するコンテンツ
・サーメット 超硬と見た目は似ているが、金属組成や割合が異なる。超硬に比べ軽い。
・ハイス(ハイスピードスチール、高速度鋼) 超硬ではないが、切削工具に使用される金属。
・ヘビメット(Hevimet) タングステンとニッケルの合金。
・チタン 超硬の耐摩耗性を上げるために窒化チタンをコーティングすることがある。
・タンモリ タングステンとモリブデンからなる合金。
・銅タングステン(銅タン) 銅とタングステンからなる合金。